弾性力

ばねの両側におもりをつるしたら?

投稿日:

図のように、質量\(m\)のおもりをつり下げると\(l\)だけ伸びるばねがあります。

このばねの両側に糸を付け、さらにその先に、なめらかな滑車を通して質量\(m\)のおもりを取り付けてみます。

なお、重力加速度は\(g\)とします。

このとき、ばねは全体でどれだけ伸びるでしょうか?

--------------------------

ばねを\(l\)だけ伸ばすおもりが両端にぶら下がっているから、全体の伸びは\(2l\)だ。

もしかすると、このようにイメージされたでしょうか?

正解は\(l\)です。

もしも間違えた方は、以下の説明を読んでみてください。

力のつり合いを考えてみる

両端におもりがぶら下がった状態だとイメージしにくいので、左端はおもりの代わりに頑丈なポールがあり、糸がつながっていると仮定します。

この状態において、ばねの右端に着目してみます。

下向きには重力\(mg\)がはたらいていますね。

これは、天井に鉛直につるされたばねの下に、質量\(m\)のおもりがぶら下がっている状況と全く同じです。

ポールが、天井に該当します。

そしてこの場合、初めの条件よりばねは\(l\)だけ伸びています。

また、糸とばね、そしてポールは全てつながっていますので、左端の「糸がポールを引っ張る力」も\(mg\)です。

鉛直につるされたばねの場合だと、ここに該当します。

つまり、右端に加わった力\(mg\)によって、最終的にポールにも右向きに\(mg\)の力が加わっています。

そして、ポールは同じ力\(mg\)で、糸を左向きに引っ張り返しています(作用・反作用の法則)。

なお、状況は何も変わっていないので、ばねの伸びは\(l\)のままです。

以上のことから、右端のおもりにはたらく力と、ポールが糸を低く力は同じです。

\(mg\)とは、そもそも質量\(m\)のおもりにはたらく重力なので、ポールの代わりに質量\(m\)のおもりをつり下げても全く同じです。

初めの状況になりましたね。

結局この状況も、天井に鉛直につるされたばねの下に質量\(m\)のおもりがぶら下がっている状況と意味は同じ、ということです。

したがって、ばねの伸びは\(l\)となります。

--------------------------

もしも、左端につり下げるおもりの質量が\(\frac{m}{2}\)だったらどうなるでしょう?

この場合、力のつり合いが保たれないので、全体が右に移動してしまいます。

両端のおもりは、ばねを両端からそれぞれ\(l\)だけ伸ばしているのではなく、片端のおもりにはたらく力によって移動しないよう、支える役割を担っているのです。







-弾性力

Copyright© 力学対策室 , 2024 All Rights Reserved Powered by STINGER.