一直線上を同じ方向に進む、物体の運動を考えます。
初めに、物体が「ずーーーーっと同じ速度」(5[m/s])で運動しているとします。
計測を始めた瞬間を0秒とすると、ここからいくら時間が経っても、速度は5[m/s]のままです。
1秒後の物体の速度・・・5[m/s]
2秒後の物体の速度・・・5[m/s]
3秒後の物体の速度・・・5[m/s]
4秒後の物体の速度・・・5[m/s]
5秒後の物体の速度・・・5[m/s]
・・・・・
この場合、加速度は生じていません。
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次に、速度5[m/s]で運動している同じ物体の速度が、運動している最中に変わったとします。
1秒後の物体の速度・・・5[m/s]
2秒後の物体の速度・・・10[m/s]
3秒後の物体の速度・・・15[m/s]
4秒後の物体の速度・・・20[m/s]
5秒後の物体の速度・・・25[m/s]
・・・・・
物体の速度はどんどん大きくなっていますよね。
これは、物体が加速しているから(=加速度が生じているから)です。
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さらに別の例として、速度25[m/s]で運動している同じ物体の速度が、運動している最中に変わったとします。
1秒後の物体の速度・・・25[m/s]
2秒後の物体の速度・・・20[m/s]
3秒後の物体の速度・・・15[m/s]
4秒後の物体の速度・・・10[m/s]
5秒後の物体の速度・・・5[m/s]
・・・・・
物体の速度はどんどん小さくなっていますよね。
これは、物体が減速しているから(=加速度が生じているから)です。
あらためて「加速度」とは?
上記の例からわかるように、加速度が生じている時(加速度がゼロ以外の時)は、物体の速度は必ず変化しています。
※ちなみに加速度がゼロの時、物体が行う運動は「等速直線運動」のみです。
加速度は「単位時間当たりの速度の変化量」で、速度[m/s]を時間[s]で割ったものです。
このため、加速度の単位は[m/s]/[s]=[\(m/s^2\)]となります。
この加速度にも実は正負があり、加速度が正の時には物体の速度は増加し、加速度が負の時には物体の速度は減少します。
上記の三番目の例では、物体の速度が減少しているので、加速度は「負」です。
この場合数値を用いて、「加速度は-(マイナス)○○[\(m/s^2\)]」と表現します。
加速度を具体的に求める
ここで、上記の二番目と三番目の運動を例にとって、物体の加速度を求めてみましょう。
★上記二番目の例
1秒後の物体の速度・・・5[m/s]
2秒後の物体の速度・・・10[m/s]
3秒後の物体の速度・・・15[m/s]
4秒後の物体の速度・・・20[m/s]
5秒後の物体の速度・・・25[m/s]
・・・・・
先程もお話しましたように、加速度は「単位時間当たりの速度の変化量」で、つまりは「速度の変化量を時刻の変化量で割ったもの」です。
この例では、1秒後に速度が5[m/s]、2秒後に速度が10[m/s]となっていますので、
1秒後から2秒後までの物体の加速度は、(10-5)/(2-1)=5[\(m/s^2\)]となります。
同様に、3秒後から5秒後までの物体の加速度は、(25-15)/(5-3)=5[\(m/s^2\)]となります。
ひとつひとつ計算していくと分かるのですが、どの時間間隔で計算しても加速度は5[\(m/s^2\)]です。
つまり、この物体は同じ加速度で運動しており、これを「等加速度運動をしている」と言います。
正の加速度が生じているので、物体の速度はどんどん増えているのです。
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★上記三番目の例
1秒後の物体の速度・・・25[m/s]
2秒後の物体の速度・・・20[m/s]
3秒後の物体の速度・・・15[m/s]
4秒後の物体の速度・・・10[m/s]
5秒後の物体の速度・・・5[m/s]
・・・・・
1秒後から2秒後までの物体の加速度は、(20-25)/(2-1)=-5[\(m/s^2\)]となります。
同様に、3秒後から5秒後までの物体の加速度は、(5-15)/(5-3)=-5[\(m/s^2\)]となります。
どの時間間隔で計算しても加速度は「-5[\(m/s^2\)]」となります。
この場合も、物体は等加速度運動をしていますが、負の加速度が生じているので、物体の速度はどんどん減っているのです。
加速度と物体の動く方向の関係性は?
非常に間違えやすいのですが、加速度が負の場合、あくまで物体の速度は減少しているということを意味しており、物体が逆方向に運動しているとは限りません。
問題を解く際に、「加速度が負だから逆向きに進んでいるのかな」と、すぐに決め付けてしまいがちなので注意が必要です。
加速度が負の場合、速度がどんどん減少していきますから、最終的にゼロになったり(=静止したり)、逆向きに進みだすといったことはもちろんあります。
ただ、これは問題の設定によって異なりますので、必ずしも「加速度が負=物体の運動は逆方向」とはならないことを、頭の隅に入れておいてくださいね。