運動量・力積

運動量と力積

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運動量とは?

質量\(m\)[kg]の物体が速度\(\vec{v}\)[m/s]で運動している時、

質量と速度を掛け合わせたものを、その物体の運動量と言います。

運動量:\(\vec{p}=m\vec{v}\)(速度と同様に、運動量も大きさと向きを持つ「ベクトル」です。)

この式からわかるように、物体が重くなるほど、速度が大きくなるほど、運動量は大きくなります。

運動量は、言い換えれば「運動の激しさ」であり、物体の運動量が大きいほど、その物体を止めたり向きを変えたりするためには大きな力が必要になります。

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例えば、ピッチャーが投げたボールをバッターが打ち返す状況を考えてみます。

ピッチャーがボールを70[km/h]でふんわり投げるよりも、140[km/h]で投げた方が、バッターは打ち返すために多くの力を必要とします。

また、スポンジのような軽いボールを投げるよりも、1[kg]の鉄球を投げた方が(実際に投げてはだめですよ)、バッターは打ち返すために多くの力を必要とします。

これが運動量の変化と加える力の関係性ですが、高校物理では、このような加える力に「力積」という量を考えます。

力積とは?

力積(りきせき)とは、加えた力\(\vec{F}\)[N]と、その力が働く時間\(Δt\)[s]を掛け合わせたものです。

力積:\(\vec{I}[N・s]=\vec{F}Δt\)

運動量と同じく力積もベクトルであり、ここでは加えた力の向きを、力積の向きと定義します。

この式から、力積は加える力が大きいほど、また、力を長い時間加え続けるほど、大きくなることがわかります。

力積と運動量の関係とは?

物体の運動を止めたり、運動の方向を変える、すなわち「運動量を変化させる」ためには、物体に加える力が関係していることは既にお話したとおりです。

ここでは、その関係性を具体的に式で表してみましょう。

いま、質量\(m\)[kg]の物体が、速度\(\vec{v}\)[m/s]で運動しています。

この物体に力\(\vec{F}\)[N]を\(Δt\)[s]だけ加え、物体の速度が\(\vec{v'}\)に変化したとします。

この時、速度の変化量は、\(\vec{v'}-\vec{v}\)ですね。

では、この物体の加速度はどのように表せるでしょうか?

加速度が生じているとは?でもご紹介しましたとおり、加速度は速度の変化量を時間の変化量で割ったものですから、加速度を\(a[m/s^2]\)とすると、

$$a=(\vec{v'}-\vec{v})/Δt ・・・・・(1)$$

です。

ここで、有名な「ニュートンの運動方程式」を、この物体に適用してみましょう。

<ニュートンの運動方程式>

質量mの質点が加速度\(\vec{a}\)で運動している時、質点にかかる力を\(\vec{F}\)とすると、

$$m\vec{a}=\vec{F}$$

という関係がある。

この物体の運動方程式は、式(1)の結果も代入すると、

$$m*(\vec{v'}-\vec{v})/Δt=\vec{F}$$

と書けます。

両辺に\(Δt\)を掛けると、

$$m*(\vec{v'}-\vec{v})=\vec{F}Δt$$

$$m\vec{v'}-m\vec{v}=\vec{F}Δt・・・・・(2)$$

運動量は質量と速度の積で表されましたから、式(2)の左辺は、「(力を加えた後の物体の運動量)-(力を加える前の物体の運動量)」です。

式(2)の右辺は、力積そのものですね。

つまり、式(2)は、物体の運動量の変化が、その物体が受けた力積に等しいことを示しています。

物体の運動量の変化は、その間に物体が受けた力積に等しい

$$m\vec{v'}-m\vec{v}=\vec{F}Δt・・・・・(2)$$

この式を丸々覚えてしまっても問題ありませんが、上記のように、運動方程式から導き出せるということも頭の隅に入れておいてもらえればと思います。

※力積が等しければ、物体の運動量の変化は変わらない

物体に力を加える場合も、大きな力で短い時間加えたり、小さな力で長い時間加えたりと、色々な加え方があります。

この時、力積の量が同じであれば、力の加え方が違っても、物体の運動量の変化は同じです。

例えば、ある物体に6[N]の力を5秒間加えた場合と、3[N]の力を10秒間加えた場合とでは、物体の運動量の変化は同じということです。







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