質点と剛体の違いにおいて、質点は質量を、剛体は質量と大きさをもったものであると説明しました。
このように両者には明確な違いがあるため、力がつり合う条件もそれぞれ異なってきます。
今回は、質点と剛体それぞれについて、この条件を紹介していきます。
力のつり合いの条件
既に目にしたことがあると思いますが、質点と剛体において、力がつり合う条件はそれぞれ次の通りです。
<質点>
●はたらく力の合力がゼロ
<剛体>
●はたらく力の合力がゼロ
●力のモーメントの総和がゼロ
質点の場合、力がつり合う条件は一つですが、剛体の場合は二つありますよね。
これは、剛体しかもっていない、ある特徴が関係しています。
力がつり合っている=運動の状態が変わらない
質点と剛体に違いはあれど、そもそも力がつり合っている時に言えるのは、両方とも「運動の状態が変わっていない」ということです。
<運動の状態が変わらない状態>
<質点>
●静止していれば静止し続ける
●ある速度で運動していれば、そのままの速度で運動し続ける(等速度運動)
<剛体>
●静止していれば静止し続ける
●ある速度で運動していれば、そのままの速度で運動し続ける(等速度運動)
●回転していない
質点の場合、静止していなかったり、速度が変化したり(加速や減速をしたり)する場合は、力がつり合っているとは言えません。
これに加えて剛体は、回転もしていないことが条件として必要です。
いくら静止していても、その場で回転していれば、力がつりあっているとは言えません。
剛体において、力のつり合いの条件として「力のモーメント」を考えることが必要なのは、剛体が「回転運動」をするからなのです。