天井からの糸に繋がれたおもりがあるとします。
このおもりを十分な高さまで引き上げて静かに離したところ、おもりが最下点を過ぎたあたりで糸が切れ、おもりは放物運動をしました。
この時、おもりは最初引き上げた高さまで到達するでしょうか?
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実は「引き上げた点まで到達する」と答える人が結構多いです。
「放物運動の最高点では速度がゼロになるから、運動エネルギーは全て位置エネルギーに変換され、手を離した高さまで到達できた」という解釈のようです。
確かに、最高点では速度がゼロになるというイメージが強いかもしれません。
しかし、とても大切なことがあります。
糸が切れた後、おもりは放物運動をするということ。
そして放物運動は、水平方向に速度をもっているということです。
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物体の運動のひとつである放物運動は、斜方投射をした際の運動としてお馴染みです。
下記のように、二つの運動が組み合わさっています。
●斜方投射の物体の運動
水平方向・・・等速直線運動をする
鉛直方向・・・鉛直上方投射をする
水平方向は等速直線運動なので、物体の速度は変わりません。
つまり今回の場合、糸が切れた後は、おもりがどの地点にいても(もちろん最高点にいても)必ず速度の水平成分をもっています。
仮におもりが糸で繋がれたままであれば、振り子が一番端まで降れると、速度のどの成分も完全にゼロになります。
しかしこのようなケースでは、速度、すなわち運動エネルギーはゼロになっていません。
このため運動エネルギーは位置エネルギーに全て変換されないので、おもりは引き上げた高さまで到達できません。
結論としては、
ということになります。
このような、おもりがどの高さまで到達するかを選ぶ問題はたまに出てくるので、注意してください。